高齢化社会に備えて安全運転支援システムの普及促進を!
最近、自動運転に関するニュースが、連日のように飛び込んでくる。これから普及すると期待されているシステムである。
一方、自動ブレーキ代表される安全運絵支援システムが、普及の速度あげてきた。現状は、前後方向の運転支援が主となっているが、さらにレベルアップする手段として、横方向の運転支援システムの普及が待たれている。
安全運転支援システムとは、運転者の安全運転を裏から見守る装置である。たとえば、運転者が注意散漫になり、目の前の障害物に気がつかない時、このシステムの出番である。必要に応じて強烈なブレーキをかけて、衝突を回避する。また最近は、ブレーキでは間に合わない時、ステアリングまで操作をサポートして、危険から回避するように動く。いざというときのお助けマンである。
一方自動運転レベル3以上の自動運転システムは、運転者が寝ていても平気である。一時的であっても、システムが責任を持つのである。
両者は往々にして混同されて議論がなされるが、まったく別のものである。
責任所在が、運転者かシステムかである。
一般に安全に関係する装置は故障をしても、何らかの形で、安全性を担保する必要がある。
人間が常に運転している前提の安全運転支援システムでは、故障してもとすぐさま運転車が対処を行える。故障をすると安全運転支援の機能をすぐさま殺して、ドライバーに通知をすればよい。
一方、システムが責任をもっている自動運転の場合、たとえば、前方を見張っているレーダが故障してしまったとしても、いきなりシステムは匙を投げてはいけないのである。必ず、冗長化という仕組みがあり、しばらくは控えのセンサが頑張って、クルマが安全になるまで前方を見張ることをしなければいけない。システムは、控えのセンサのみで安全な場所に車を止めるか、寝ている運転者を起こして、運転を交代してもらわなければいけない。
冗長化するということは、装置が二倍必要ということを意味する。コストが大幅に上昇するのである。
現在検討されている自動運転車は、センサのお化けになるといわれている。あるカーメーカの例では、レーダが車の周囲に5個、LiDARと呼ばれる光式のレーダが5個、さらに画像認識ができるカメラが4個いるとか言われている。
ここまで大騒ぎして、自動運転を必要とする人はきわめて限られるであろう。
安全運転支援システムにとどめることができればコストその半分程度で済む。
装置が、大幅に小型化され、さらにコストダウンがなされない限り広く普及するとはどうしても思えない。
それよりも、安全運転の裏方的なシステムをまず実用化するべきであると考える。
さらに、他のメリットがある。それは高齢者が、自動車を通じてさらに長い間、社会参加ができるのをサポートするのである。
特に地方では、公共交通機関が崩壊していることを考えると、高齢者の運転の機会は増えざるを得ない。高齢者が安全に車を運転できるようにするのは、社会的なニーズである。
運転はぼけ防止にも役立つとの話もある。
安全運転支援システムをまず全面的に普及させるべきであろう。